あらすじからネタバレまで丸わかり!
ドラマティックでコミカルに海洋探検隊を描いた映画、
『ライフ・アクアティック』は
海の映画を見たいとき
映画の世界観に浸りたいとき
ラストで感動したいとき
オススメです!
その魅力について、
- 映画『ライフ・アクアティック』のあらすじは?
- 『ライフ・アクアティック』とウェス・アンダーソン
- ネタバレは?
- 衝撃の事実はここ!
- 感動の瞬間はここ!
- 『ライフ・アクアティック』の感想
- 評価は?
これらで迫っていきます!
『ライフ・アクアティック』?そんなのマニア向けの映画じゃないの?
ノンノンノン!
現在じわじわと人気上昇中の若手ウェス・アンダーソン監督。彼の初期の作品『ライフ・アクアティック』でも、彼の才能が発揮されています。
今後『グランド・ブダペストホテル』を超えるヒット作を生み出せば、注目を浴びること間違いないこの作品。
見て損するはずがありません!
今回のトピックスをお読みになれば、『ライフ・アクアティック』の注目シーンを見逃すことなくお楽しみいただけます。
それでは、早速あらすじから参りましょう!
もくじ
『ライフ・アクアティック』あらすじ
「僕は、あなたの息子かもしれない」
主役のスティーブ・ズィスーは海洋探検家であり映画監督でもある男。
彼は国際映画祭のためにイタリアに訪れていた。
今回の海洋映画の新作は、大切な「チーム・ズィスー」の仲間を失うというドキュメンタリー。
その隊員は、ヒョウザメに丸呑みにされたのです。
ところが、監督の力作であるにもかかわらず、観客の反応はパッとしません。
それもそのはず、監督であり主役でもあるスティーブは撮影中にカメラを海に落としてしまい、仲間を失うという決定的瞬間を捉えられなかったのです。質疑応答の時間には観客からヤラセなのではないかと揶揄(やゆ)されます。
そんな中、客席の最上階にいるある一人の青年が手をあげました。金髪で口髭を生やし、パイロットの制服を着た好青年です。
国際映画祭の後、スティーブは映画関係者の集まる船上にいました。すると向こうからあの青年がやって来ました。そして、女性の名前をあげ、彼女を知っているかと尋ねます。彼女は、スティーブの元恋人でした。
「僕はあなたの息子かもしれない」
スティーブは突然の告白に驚きました。
しかし彼は心当たりもあるのです。
「かもしれない」
という暫定的な事実を受け入れ、スティーブは妻のエレノアに紹介します。彼女は生物学者であり、海洋探検隊のブレイン的存在でした。
好青年のネッドですが、彼女は紹介を受けるも、エレノアにしてみれば彼の存在は快くないようです。
その後スティーブは映画制作会社の担当者と打ち合わせをします。新作に取り掛かりたい、と切り出しますが、それならそろそろヒット作を出してくれ、と言い返されます。もう制作費は底をつきかけています。
そこで担当者は、ある約束を守ってくれるなら制作費を出してやる、と提案します。
「ジャーナリストが取材に来るから、愛想良く振る舞うんだぞ」
こうして新たな制作が始まりました。
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※揶揄とは・・・
からかうこと[/aside]
掛け声はホー!新・チーム・ズィスーの誕生
ある夜、客室で眠るネッドが起こされました。
「もう撮影を始めているから来い」
夜空の下には、打ち上げられた大量のクラゲが海岸に広がっています。ネッドは幻想的な光景に気を取られていると横からマイクを渡されました。ネッドはスティーブに尋ねます。
「クラゲは発光しているのだろうか?それとも月光を反射しているのだろうか?」
すると別の場所から返事が聞こえてきました。そこには、大きな荷物を抱えた女性が立っています。彼女が例のジャーナリスト、ジェーン・ウィンスレット=リチャードソンです。彼女は空港で待っていても迎えがこなかったため一人でやってきたのです。
「君は妊娠しているのか?」
そうよ、と答え彼女は風船ガムを膨らまします。彼女のお腹はどう見ても膨らんでいました。
「ところで君のさっきのアドリブは良かったよ」
スティーブがネッドに続けます。
「君もチーム・ズィスーに入らないか?」
ネッドはためらいます。何十年の歳月を経てスティーブという父親に会えたのですが、一方でパイロットの仕事があります。
「僕は、君にチームに入って欲しい」
「はい、入ります」
こうして新しくチーム・ズィスーが誕生しました。
ところが、不満な顔をするメンバーが一人いました。
「マイクの使い方さえも出来てないのに」
そう言ったのは、チーム・ズィスーの一人、クラウスでした。彼はスティーブがネッドを褒めるたびに嫌な顔をするのでした。
メンバーの揃わない足並み
新チームを結成したはいいものの、足並みはそろいません。
ジャーナリストのジェーンが取材を始めても、彼女の質問はスティーブにとって都合の悪いことばかりです。
「もっと典型的な話をしてくれないか?」
こんな調子でスティーブはジェーンの取材に取り合おうとしません。それどころか、スティーブは彼女に対して嫌味を吹きかけます。その度に彼女はオフレコにして言い返しました。
そしてついに彼女の妊娠に対して触れた時、彼女はわっと泣き出しました。彼女は妊娠のストレス、そして身ごもっている父親である愛人にいつか捨てられるのではないかと不安を抱えていたのです。
クラウスとネッドにも確執がありました。チームの中で隊長のスティーブを最も尊敬しているのは自分であると自負していたクラウス。しかしいつも関心を持たれ可愛がられるのはネッドです。
ある夜、ネッドがゴミ出しに外へ出るとクラウスに突然殴られました。この時ネッドは、クラウスの嫉妬に気がつきました。
「覚えとけよ」
ネッドはクラウスのしたことを許せませんでした。
不満があるのはクラウスだけではありませんでした。スティーブの妻であるエレノアはネッドに不満があり、それとなくチームから外して欲しいことをほのめかしました。
しかしスティーブにとっては血の繋がった大切な息子です。話を聞いてはくれない夫に愛想を尽かし、危険な旅に出たくはないと、彼女は突然チームを去ってしまいます。
海賊たちの襲撃!
そんなある日、スティーブが客室を開けると、ベッドの上にネッドとジェーンが横たわっていました。二人は慌てます。
「客室の出入りは禁止しているはずだ」
スティーブはそう言いますが、時は既に遅し。愛人に見捨てられかけて半ばヒステリックになっているジェーンは、ネッドの好青年な振る舞いに惹かれています。二人はスティーブの知らないところで結ばれていたのです。
一方スティーブは彼女に強く当たりながらも、彼女のその繊細なところに惹かれていたのでした。
「手を出すなと言ったろう?」
スティーブはネッドを攻めます。
「それは僕に言ったんじゃない。クラウスに言ったんだ」
ネッドはスティーブがジェーンに気にあることを知っており、クラウスとの会話も聞いていたのでした。
「知ってて会ってたのか?」
その時、やかましい足音と聞き慣れない言葉が押し寄せる気配がしました。
「お前見張りはどうした?」
見張り役だったネッドはそれを放棄していたことを思い出します。
そして間髪入れずに扉が叩き破られ、武装集団が押し寄せてきました。
海賊です。カタログ後を話すものと日本語を話すものが混濁したその集団は、スティーブたち3人の手首を縛りました。そして抵抗する間も無く、彼らはネッドを殴り、そのまま連れ去って行きました。
「ネッドだけは殺すんじゃない!」
スティーブが縛られた身体を必死にくねらせながら叫びました。
突然襲われた海洋探検隊・チーム・ズィスー。彼らの運命はどうなるのでしょうか?
結末のご紹介の前に、ここで本作を数倍楽しむために、ウェス・アンダーソン監督の世界についてご紹介致します!
この映画は、ドラマと舞台演出を掛け合わせた監督の力作です!!
『ライフ・アクアティック』とウェス・アンダーソンの世界
さてウェス・アンダーソン監督の作品といえば、独特の世界観で知られています。中でも人気を誇るのが、
- 2012年公開の『ムーンライズ・キングダム』
- 2014年公開の『グランド・ブダペストホテル』
などです。
さて今回ご紹介している『ライフ・アクアティック』は、監督の4本目長編作品となります。
監督はこの製作に着手するまで10年以上も温めた力作なのだとか。
そんなウェス・アンダーソンの世界観が炸裂しているこの作品の特徴について、2点ピックアップしてみました!
あまりにもカラフル!?海洋生物の演出
海洋探検隊という設定柄、海の生き物たちがたくさん登場します。それらはあまりにも色鮮やかで、よく見るとCGで作られています。
ウェス・アンダーソン監督は色使いに忠実です。
「いるはずがないけれどいたらいいな」
と思いたくなる海の生き物を、ストーリーの中で違和感なく演出させています。
ヒューマンドラマの間をすり抜けて泳いでいく色彩豊かな生き物たちは、とても美しく、羨ましくもあります。
まるでプラモデル!?船の内面図
「船について説明させてくれ」
物語中のこのセリフ。
突然船の紹介が始まります。
いかにもウェス・アンダーソン的展開です(笑)
こちらの船、なんと断面図になっているのです。大規模な舞台設定が施され、まるでプラモデルを巨大化したようです。
中が全て見えるので、客室を行き交う人々はまるでアリの巣の働きアリのようです。
こちらが参考動画です♪
このように、ウェス・アンダーソン監督は演出にこだわりが強く、ブレない軸を持っています。「海」というモチーフを最大限に生かし、観客を視覚的にも十分に楽しませてくれます!
ではウェス・アンダーソン監督の世界観について少し触れたところで、お待たせいたしました!
ここからはネタバレに入って行きましょう!
新・チーム・ズィスーとして動き出した彼らですが、足並みはそろわず、そんな矢先に多国籍の海賊に襲われてしまいました。ネッドがさらわれて半狂乱になるスティーブ。彼らの命は助かるのでしょうか・・・?
「衝撃の事実」「感動の瞬間」など、ドラマティックな展開が見逃せません!
※ここからはネタバレになりますので見たくないという方はスルーしてください。
『ライフ・アクアティック』ネタバレ!
スティーブの大逆転
殴られたネッドは意識をなくしたまま横たわっていました。
するとそこへ海賊とチーム・ズィスーの間を取り持つ一人の助っ人がいました。それは映画制作会社の担当者です。彼はカタログ語が話せたのでネッドを取り戻そうと交渉しました。
ところがこれが災いして、ネッドを解放してカタログ語の話せる彼を人質にとったのです。
こうして手荒くメンバー全員が目隠しをされ、手首に縄を締めくくられています。もう映画制作もここで終わりか、みんなが諦めかけたその時、一人の男が立ち上がりました。
スティーブです。
彼は怒りに震え、悔しさから秘めていた底力が湧いてきたのです。自力で縄をほどき、目隠しをとりました。そしてバスローブのポケットから拳銃を取り出し、ひるむことなく拳銃を構えました。
スティーブの銃声が響き渡り、銃撃戦が始まります。スティーブめがけてあらゆる方向から銃弾が飛び交います。それを華麗に交わし、一人、また一人と海賊たちを倒して行きます。
スティーブの豹変ぶりに驚いた海賊たちは自分たちの船に乗り込むとそそくさと逃げて行きました。一匹の犬を残して・・・。
人質の救出ともう一つの闘い
燃え盛る船を背に、目隠しをされたままのチームメイトは安堵しました。ところが、カタログ語の彼は人質に取られたままです。彼の居場所などわかるはずがありません。
そこへ、チームからさった妻エレノアが戻ってきました。頭脳明晰な彼女の推理によると、海賊たちは数百キロ離れた小島へ向かっているようです。
こうして彼らはカタログ語の彼を救い向かいました。
衝撃の事実!
戻ってきたエレノアが、ジェーンに簡単な食事をふるまっていた時です。
「ずっと黙っていたのだけど」
生物学者であるエレノアには【ある疑惑】がありました。
「スティーブは無精子なの」
ジェーンは驚きました。それはつまり、ネッドがスティーブの息子であることを完全否定するのです。
この話はここだけの話。エレノアはずっとこの事実を心に押しとどめていたのでした。
悲劇の瞬間!
こうして人質を助けに動き出したチーム・ズィスー。怪物たちから間一髪で人質を助け出すことに成功しました。
しかし、スティーブにはもう一つの戦いが残っていました。
それは、かつて仲間を食い殺した、ジャガーザメとの決着です。
パイロット経験のあるネッドが操縦し、スティーブと二人で目的地へ向かっています。ところがヘリの機体が古いために、走行中に期待の一部部品が破裂しました。
次の瞬間、真っ逆さまに機体が墜落。その数秒の間にスティーブには幻覚が見えました。
ネッドと出会った国際映画祭の質疑応答の場面です。
海面から顔を出し、視界がはっきりするとネッドを見つけました。彼は機体に捕まり下半身から出血しています。
息子だけは。
強い思いに突き動かされ、彼を岸まで担ぎましたが、彼の力はすでに弱り、岸に着く頃には息が絶えてしまっていました・・・。
間も無く粛々(しゅくしゅく)とネッドの葬儀が始まりました。操縦士の制服を着た同僚も駆けつけました。棺に納められ彼をメンバーと同僚が海へと埋葬しました。
海水に揺られ、ゆらりゆらりと沈んで行くネッドの棺を、エレノアは潜水艦の窓から見守っているのでした。
[aside type=”normal”]※粛々(しゅくしゅく)とは・・・
厳かな様子や、静かな様子など[/aside]
感動の瞬間!
「ドライブに行こう」
もう一人かけがえのない仲間を失ったスティーブが、自ら提案しました。彼らも同様にネッドを失った悲しみを抱えていましたが、前進しなくてはなりません。彼にはまだ戦いが残っています。
潜水艦に乗り込み、出発しました。海底に着くと、お鳥の餌をチラつかせながら、敵を待ちます。
海底の世界は、地上とは別世界でした。普段目にしない生き物たちが優雅に泳ぎ回っています。彼らはため息をついてしまうほどに色あざやかです。
そして、現れました。
スティーブとジャガーザメが再開する瞬間です。潜水艦の窓には収まりきれないほどの巨体が前を横切ります。その大きさに、メンバーは言葉を失います。ただスティーブだけが、ジャガーザメをじっと見据えています。
「美しいわ」
エレノアがつぶやきました。敵対心から解き放たれたように、彼女はただそのヒョウ柄の巨体を眺めていました。
「俺のこと覚えてるかな」
その言葉に、チームメイトは胸を打たれました。一人、また一人、とスティーブの肩に手を置いて行きました。攻撃することもなく、何か見守るように、ジャガーザメが去って行くまで眺めているのでした。
チーム・ズィスーは終わらない
今年もまた新たな新作を上映しました。大切な仲間、ネッドのドキュメンタリーを含めた作品です。
ネッドは亡くなってしまったが、今年もまた新たなメンバーが一人増えました。それは、クラウスの甥っ子だ。クラウスは誇らしげに甥っ子を見つめています。小さな彼を肩車して、スティーブはまた新たな海の冒険へと、歩き出すのでした。
チーム・ズィスーの冒険物語。ドラマティックでありながら海というテーマを存分に含んだ物語でした。
それでは、こちらの作品の評価・感想に移りましょう。『ライフ・アクアティック』は星いくつでしょうか・・・?
評価は?
評価 ★★★★☆4/5
評価は、星4つです!
その理由は、
- 海というモチーフを存分に扱っていること
- 人物像がリアルで、ドラマティックに仕上がっていること
- ウェス・アンダーソンの世界観が唯一無二であること
残りの星1つは、もう少し有名になってほしいという期待を込めました(笑)
世間の評価に星を1つ付けていただきたいです。
感想
タイトルを知りつつ見ていなかった作品でした。1回では物足りず2回も見てしまいました。それは、この映画が意外にもヒューマンドラマを含んでいたからです。
監督の映画はついつい色彩のバランスやカメラワークに留まりがちですが、人物像の設定の細やかさ、台詞回し、場面の組み合わせは、非常に臨場感あふれるドラマを構築しています。人物の状況や傾向をつかめば掴むほど、彼らの動きに目が離せませんでした。
こうした人物像の描き方が、非常に巧みです。特にジェーンが妊娠していてそのストレスから風船ガムをずっと噛んでいるというところが印象的でした。
『ライフ・アクアティック』観たくなりましたか?
いかがでしたか?
今回は映画『ライフ・アクアティック』の、
- あらすじ
- ウェス・アンダーソンの世界観
- ネタバレ
などについてお伝えしました。
この映画や監督に興味を持った方は是非実際にご覧になってください!
独特の世界観とキャラクターがクセになります!
予告編はこちらになります♪
『ライフ・アクアティック』をもっと詳しく知りたい!
そんな方は、ぜひこちらもお読みになってください♪
→映画『ライフ・アクアティック』音楽・デヴィッドボウイ・アディダスついて解説!これを知れば作品を更に楽しめる!
公開日
2004年12月25日 アメリカ合衆国
2005年5月7日 日本
ジャンル:コメディ
監督
ウェス・アンダーソン
キャスト
- スティーブ・ズィスー : ビル・マーレイ
- ネッド・プリンプトン : オーウェン・ウィルソン
- ジェーン・ウィンスレット=リチャードソン : ケイト・ブランシェット
- エレノア・ズィスー : アンジェリカ・ヒューストン
- クラウス・ダイムラー : ウィレム・デフォー
- アリステア・ヘネシー : ジェフ・ゴールドブラム
- オセアリー・ドラクリアス : マイケル・ガンボン
- ウラジミール・ウォロダルスキー : ノア・テイラー
- ビル・ユーベル : バッド・コート
- ペレ・ドス・サントス : セウ・ジョルジ
- アン=マリー・サコヴィッツ : ロビン・コーエン
- ヴィクラム・レイ : ワリス・アルワリア
- ボビー・オガタ : ニールズ・コイズミ
- レンゾ・ピエトロ : パヴェウ・ヴドフチャク
- エステバン・デュ・プランティエ : シーモア・カッセル
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