『ブルックリン』をもっと詳しく!
「あらすじ・ネタバレ」はもう知っているけど、
キャストの衣装を振り返りたい!
あの音楽を聴きたい!
この映画の時代について知りたい!
そう思っていませんか?
今回は、
- 50年代ファッション(衣装)の特徴
- 音楽のジャンルは?
- 時代背景は?
- アカデミー賞ノミネートの理由は?
- 明るい未来のほのめかし?
これらをお話しさせていただきますので、きっとあなたの気になっていることの答えが見つかるはずですよ^^
そして!
2016年アカデミー賞作品賞・脚本賞にノミネートされた「その理由」にも迫ります!
盛りだくさんのテーマを含むこの記事で、『ブルックリン』の奥深さを知ることができます!
この映画を見た友人にも、まだ見ていない友人にも是非色んなことを教えてあげてください。
それでは、この映画の特徴でもあるファッションについて見ていきましょう!
もくじ
アンティークなファッション(衣装)と民族音楽
時代を感じさせる50年代ファッションの特徴
50年代のアンティークさを感じさせるキャストの衣装に、胸がときめいてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか!古着が好きな女性なら注目してしまうポイントですよね。
そんな50年代ファッションの特徴を3つ簡単にご紹介します。
大振りで特徴的な襟元
女性のワンピースやブラウスの襟が大きめであることが特徴です。特に大きめの襟でしたら、三角形のものがよく使われているようでした。
この時代の洋服はミニスカートのような、露出度の高い洋服はまだありません。そのため大きな襟が洋服全体のアクセントとなります。ボタンを上まできっちり留めていても、襟が装飾となり品の良い女性に見えます。
アンティークなパターン
ブラウスやスカート、ワンピースのパターン、模様も50年代風がしっかりと意識されています。例えば大振りな色の切り返しはアンティーク感があります。さらにはエイリシュの履いているロングスカートの模様は、どこかアイルランドの田舎町を連想させるような模様です。
緑色を中心とした配色
エイリシュのコートやトップスには、どことなく緑色が多いです。そして作中の建築物や船の内装なども緑色が多いような気がします。
緑色が多く集まる一つ目の理由は、肌の白い人は緑色がよく似合うというものです。
特にエイリシュを演じるシアーシャは、目の色が透き通ったエメナルドグリーンです。欧米の方は宝石をプレゼントする際、女性の目の色に合わせて選ぶことも多いようです。
そのため、彼女の肌の色や目の色も関係しているのではないかと思います。
二つ目の理由は、アイルランドの国旗です。
アイルランドの国旗は左から緑、白、オレンジの三色です。(イタリア国旗の赤をオレンジに差し替えた感じ)
アイルランドに住むケルト民族を祖先に持つアイリッシュ系の人々の多くは、赤毛です。赤毛といってもオレンジ色ですが、オレンジと緑の組み合わせは、どこかアイルランドを連想させます。エイリシュの髪は赤毛ではなく茶色ですが、彼女に緑色の服を着せたがるのは、ひょっとしたらアイルランドを連想させたいからかもしれません。
さて、アイルランドの国旗について少し触れましたが、続いては「アイルランドの民族音楽」についても少し触れていこうと思います!
アイルランドの言葉は聞き取れない!?ケルト音楽シーン
アメリカで孤軍奮闘するエイリシュの姿に心打たれる方も多いと思いますが、ホームシックから立ち直ろうとエイリシュが意識を変えたシーンがあります。
それはクリスマスの夜、アイルランド移民が集まるパーティでのことです。
そこに集まる多くの人は見の拠り所もなさそうな老人ばかりです。パーティの途中、ある男性が歌を歌い始めます。
歌詞はアイルランド語であるため、アメリカ人には聞き取れません。
彼らはその歌を聴くと、遥か彼方の懐かしい祖国、そして家族のことをそれぞれに思い浮かべます。小さな一室に集まったアイルランド移民の意識が、一体となる瞬間です。
そこでエイリシュはホームシックから振り切れたのか、精を出して彼らに食事を振舞います。アイルランド語の歌を歌う老人の声は朗々と、高らかに響いています。
そして実際のシーンが、こちらです♪
序盤にアコーディオンとヴァイオリンの弾むような音楽が流れているのですが、これもケルト音楽の代表的なリズムです。わかりやすく言うと、無印良品に流れている音楽です(笑)
ファッションや音楽といった作品の外観に触れたところで、次に作品の中身についてご紹介していきます!
アイルランド移民の歴史とアカデミー賞ノミネートの理由!?
そもそもアイルランド移民ってなに?
アメリカの別称で「サラダボウル」とか「人種のるつぼ」という言葉を耳にしたことのある方もいらっしゃると思います。
考え方は様々ですが、大枠としては「様々な国に先祖を持つ人の集まり」という意味です。
アメリカへ移民としてやってきた人種・民族にはある程度まとまった歴史があります。アイルランド人はイギリス人、フランス人、ドイツ人の流入から遅れ、1845年から1849年に起こったジャガイモ飢饉を皮切りに北アメリカへ押し寄せてきました。
この「遅れてやってきた」というのがポイントで、アイルランド系アメリカ人は差別を受けていた時代がありました。その名残もあり、現代になっても社会問題として残っています。
映画の中で、エイリシュのアイルランド訛りがバカにされたのはそのためです。アイルランド移民に限りませんが、赤毛は不吉とされたり、そばかすが多くていじめられたりというような問題もあるのです
そして、アイルランド人からさらに遅れてやって来るのがイタリア系移民です。トニーもエイリシュ同様、遅れてやってきたのでバカにされることもあると思います。実際、トニーのお仕事は配管業です。
映画「ブルックリン」は、若者のひたむきな姿やロマンスをオシャレに描きつつも、このような歴史、そして当時の社会問題も扱っているのです。
アカデミー賞ノミネートの理由は、こうした背景から来ているのだと思います。
仕事がなく、勇気を出し、希望を持ってアメリカへやって来た移民たち。しかしそこには彼らの祖国では考えられなかった常識や困難が待ち受けています。そんな困難を乗り越えながら成長し、子孫を繁栄させていく彼らは、とても人間らしく、生命力に溢れて力強いですね。
移民の歴史や背景についてお話ししたところで、最後にこの映画のネタバレと感想をご紹介したいと思います!
心の準備はいいですか・・・?
移民の今後を期待させるほのめかし?
さて、個人的にお気に入りの場面があります。
それは、エイリシュの彼氏・トニーと8歳の弟が「秘密」を共有する場面です。
「秘密」というのは、トニーがエイリシュに宛てた手紙の内容ですが、注目して欲しいのはこの次です。
トニーはもともと読み書きが得意ではありません。喋ることができるのですが、スペリングに自信がないのです。ところが口が達者な8歳の弟は悪ガキでありながらも勉強ができ、大学進学まで期待されているのです。
「僕は8歳だからキスのやり方もわからないよ」
「そんなもの分からなくったっていいさ」「スペルをチェックしてくれよ」
こんな何気ないシーンですが、この一場面に、この8歳の弟の明るい未来をほのめかすような期待を感じました。
初めてやって来た移民は、言葉に苦労をしたと思います。その場で見て感じて、少しずつ覚えていきます。その子供は、拙い親の英語と周りの人が話す英語から語学を習得し、学んでいきます。
そしてさらにその子供が英語を学んで・・・
というように、世代が変わるにつれて英語の習得率はどんどん上がっていきます。
この場面には、そんな未来が投影されているような気がしました。
(ちょっと深読みかな??)
『ブルックリン』、もう一度観たくなりましたか?
いかがでしたか?
今回は映画『ブルックリン』のアンティーク・ファッションやケルト音楽、移民問題、そしてアカデミー賞ノミネートの理由についてご紹介していきました。
これらの内容を踏まえてもう一度見直すのも、違った視点から楽しめますね。
そして今回ご紹介したこと以外にも、魅力がもっと見つかるかもしれません!
今回ご紹介した様々な『ブルックリン』ネタ、ぜひ友人にご紹介してくだい!
予告編はこちらになります♪
また、こちらの作品の「見どころ」やキャストを知りたい方はこちらをご覧ください。
→映画『ブルックリン』あらすじ・ネタバレ・評価・キャスト!
「ブルックリン」( 原題:Brooklyn )
公開日
2015年11月4日 アメリカ合衆国
2016年7月1日 日本
ジャンル:ドラマ/ロマンス/青春
監督
ジョン・クローリー
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ムビさん、こんにちは。
わたくし、牛山知と申します。
素晴らしいブログを拝見させていただきました。
僕も、三か月ほど前から映画のブログを書いています。
大変参考になりました。
>牛山知さん
コメントありがとうございます。
いえいえ、まだ始めて間もない若輩者ですので他のレビューを書かれている方達には到底及びません。
合っているかはわかりませんが、込められているメッセージなどを考えることが好きでこういったブログを始めさせていただきました。
投稿記事もまだまだ少ないですが、これからもたくさんの作品について書いていこうと思っています^^
映画好き同士仲良くさせていただければ幸いです。
ムビさん、こんにちは。
メッセージ(コメント)、ありがとうございます。
よろしくお願いします。